【愚行録 書評】考えることをやめることが愚行なのかもしれない。

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スナです。

貫井徳郎氏の「愚行録」を読んだので概要と感想を書いていきます。

 

 

愚行録

 

貫井徳郎/愚行録

 

 

幸せを絵に描いたような家族にいきなり訪れる不幸。

 

夜中に田向家に忍び込んだ犯人が一家四人を惨殺する。

犯人は捕まっていない。

「理想の家庭」に見られた田向家はどんな過去があったのか!?

「何が愚行なのか...」

 

皆はミステリー作品と言う。

いや、290ページからは衝撃のホラー作品である。

 

この物語は田向家を知る人物たちに話を聞いて回る

インタビュー形式で構成されている。

 

①近所に住むママ友

②会社の同僚

③大学時代の同級生

④大学時代の元カノ

⑤大学時代の元カレ

 

インタビュアーがいろんな人に被害者家族の過去を聞いていく。

話を聞いて田向夫妻の人物像を簡単に想像できた。

 

妻は、慶應大学を卒業。

顔もファッションセンスも抜群。

みんなから好かれるような振る舞いをかかさず、

学内では男女ともに彼女のファンが多かった。

彼女のファッションやメイクを真似する女子も表れるくらい

憧れを持たれ、愛されていた。

恋愛も人並みに経験。

 

夫は早稲田大学を卒業。

非常に頭が良く、就職もコネを使わずに実力で

一流会社に就職をする。

昔、ストーカー被害から女性を助けた。

正義感も強い。

 

 

どちらも「恨み」を持たれる過去はなかった。

犯行は「金銭目的」で一家を事件に巻き込んだのか!?

 

不気味な兄妹の存在

 

物語の途中で、ある兄妹の幼少期の回想シーンが描かれている。

僕には、

この兄妹が誰なのか!?

予想もつかなかった。

 

全298ページある中で冒頭から登場し、285ページ読んだところで

やっとこの兄妹が誰なのか!?が理解出来た。

この物語のキーマンはこの兄妹で間違いない。

初めから回想シーンはよく読んでいただきたい。

 

 

インタビュー形式で「田向夫婦について」を聞いているので、

①〜⑤の人物の話している回数も多く、

相手の言動から「もしかしたらこの人が犯人なのかも」と推理することも出来て面白い。

だが、それは貫井氏の思う壺。

彼はいい意味で期待を裏切ってくれる天才だ。

 

死人に口なし

もう田向一家はこの世にいない 。

残されたのは犯人と田向夫妻を知る者と事件を追いかけるインタビュアーである。

インタビューから、昔を思い出して「憎しみ」を感じて悪く言う者も存在した。

事実か虚言かわからないがもう田向夫婦は反論も言えない。

 

愚行...

 僕はそう感じた。

言いたい放題ではないか。

存在しない相手だぞ...と。

 

 

兄妹の人物像

 

【妹】

・秘密を作ることが大好き

・両親からDVを受ける。

・小さい頃から勘のいい子で賢い。

 

【兄】

・正義感が強く優しい心を持っている

・DVを受けている妹を助けるが小さいので返り討ちに。

やがて、成長し身体も鍛え上げ父親から妹を助ける。

・昔から妹を気にかけて庇う。

 

恵まれた環境ではなかったが、

妹は兄だけを信頼して生きてきた。

兄は理不尽に耐える妹だけを常に気にかけ、守っていた。

 

 

 彼らの生い立ちを読み取ってわかった。

 

これも愚行なのだ。

 

最後まで読んで頂ければ分かる。

ただのDVではない。

そうやって生きてきた子どもが親になったらどうなるのか?

(※この物語のみ)

考えてほしい。

 

 

終わりに...

読み終わった時の印象は、「怖い」

またもやスッキリしないで終わった。

貫井氏の作品はそこが楽しめる。

 

凝った物語構成が読欲を唆る。

 

インタビューされているだけの物語は

自分がインタビュアーになり疑問点をぶつけたい気持ちにもなる。

 

 

 

【秘密大好き】【幼少期から賢い】【庇う】【守る】

 

 

 

あっ。インタビュアーは誰かって!?

 

 記者???

そんなこと一言も言ってませんよ。

 

「何か」の...

 

秘密をバラされて困る表情を一番見たくない人は誰でしょう??

もし、インタビューの相手が秘密を知ってしまったらどうしますか...?

 

 

 

ね。ホラーでしょ?笑